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春之部 ○夏之部 ○秋之部
江戸名所花暦_冬

対象物 ナンバー 場所名 おおよその場所
寒菊  1 平河山法恩寺 墨田区太平1丁目26番地〔本所柳しまにあり。この梵刹のうしろのかた農家にて、多く季候(ときどき)の草花を作れり。中にも冬にいたりて寒菊を作るころは、諸草みな枯れたる中に、黄金いろなる田園を見渡すこといとめずらし。〕
水仙 2 押上植木屋 墨田区業平2〜5丁目、横川2〜5丁目辺りが昔の押上村に当たる
〔此の地に限らず、染井、三崎、巣鴨、四ッ谷、目黒辺所々にてつくり、花少しも早く咲き出づるをよしとして、神仏の縁日にもち出でてひさぐ。〕
寒梅
山茶花
枇杷
茶の花

3 向じまの辺 墨田区堤通、墨田、東向島、向島(隅田川の東側のあたり)
〔風流人の別業、あるいは隠士の庭中にあり。しかれどもこの地に限れるにあらず。生垣のうちに交はり、または園中に一樹(ひとき)もあるのみにして、多樹(たじゅ)なきゆゑに、確とところを定めて出ださず。堀のうち、青山のへん、また根岸あたりにもあり。〕
連理の楠
(相生の樟)

4 吾妻の森
吾妻大権現(現 吾嬬神社)
墨田区立花1丁目1番地 連理とは2本の樹、あるいは1本の樹がいったん分かれたものが1本に結合したもので契りの深い男女・夫婦をたとえていう。

5 穴八幡社 高田戸塚村 新宿区西早稲田2丁目1番地〔高田戸塚村。別当光松山放生(ほうじょう)寺に光り松といふあり。むかしは繁茂(しげり)たる山なりしが、里人伐りつくしてただ一もとの松のみのこれり。寛永十三年(1636)にあたりて御弓組の与力、このところにて弓の稽古ありしなり。弓矢の神なれば、八幡宮を勧請せんと催ほす。をりしも山鳩三羽、日毎に来るゆゑに、二本の松を神木とあがめ花表(とりい)をたつる。〕
6 西帰山常光寺
亀戸六阿弥陀六番目
江東区亀戸4丁目48番地〔亀戸六阿弥陀六番目。来迎(らいごう)の松とて堂の前にあり。中古火災のとき、本尊この木にとびうつりたまふゆゑ名づくとなり。竜灯の松といへるは本堂のうしろにあり。〕 来迎松、竜灯の松ともに昭和13年の大水の際に枯れてしまって、今は無い。
7 龍岩寺(現 龍巌寺) 渋谷区神宮前2丁目3番地〔青山にあり。大門を入りて正面本堂なり。これを左のかたへつきて曲れば後園にあり。見る人に安からしめんがために、円坐松の下をおのづから下りて、一段下の庭へ行くなり。ここに止まりて見れば、枝葉天を覆ふがごとし。〕円坐松は戦災により失われる。
枯野 8 雑司が谷より堀の内へ至る路
(堀の内は杉並区の妙法寺 雑司ヶ谷より南西の方角)

豊島区雑司が谷のあたり。往時は一面たんぼ。〔枯野は何処と定むるにあらず。そのところどころにして風景有り。隅田川は東(あずま)の勝地にして、四時(しいじ)の詠(ながめ)あるところなれば、いふもさらなり。図にあらはすところは、雑司が谷より堀の内へ廻る道なり。ここは山間の耕地にて、清水の流れなどありてしづけき地なり。〕
千鳥 9 州崎(洲崎弁財天社)

江東区木場6丁目13番地 現 州崎神社〔当院は海岸にて、東は房総(あわかずさ)の遠山浪をひたし、南は羽根田、支那川、北は筑波根のかすかに見えて、佳景の地也。境内、貨食(りょうり)屋軒をつらね、遊客寒風をいとはずして、この楼(たかどの)などに集りて、千鳥を聞。中河、行徳もよし。〕

10 愛宕山(現 愛宕神社) 港区愛宕1丁目5番地〔この山上より雪中に見おろせば、格藩につもれるゆき、綿をもって家居をつくれるに似たり。遥に望めば、安房、上総の山々、片々たるうちに見ゆ。〕安房(あわ);千葉県南部 上総(かずさ);千葉県中部
11 高輪 港区高輪2丁目辺りの国道東寄り一帯。国道の東側は昔は海岸
〔この海岸の酒楼より海上を望む時は、雪の粉々たるありさま、他に比する処なし。〕
12 長命寺 墨田区向島5丁目4番地〔隅田川の堤、曲行の角にあり。境内に芭蕉の碑あり。この辺に彳(たたず)みて左右をかへり見れば、雪の景色いはんかたなし。いざゆかむ 雪見にころぶ ところまで はせを〕
13 牛御前王子権現の社 

墨田区向島1丁目4番地 現 牛嶋神社〔同所南の方にあり。別当は最勝寺と号す。本所の総鎮守にして、祭礼は隔年九月十三日。北本所石原新町の旅所へ神幸ありて、同じく十五日帰輿あり。祭神素盞烏尊(すさのおのみこと)、牛御前と称す。〕

14 三囲稲荷社 墨田区向島2丁目5番地〔此境内、隅田川のながれは堤に隔てられて見へずといへども、社の左右みな耕地なれは、枯田に玉屑(ゆき)の積もれるありさま、実に豊年の貢ものとみへたり〕
15 待乳山(真土山) 台東区浅草7丁目4番地〔聖天宮を安置す。金竜山本竜院。霊験あらたにして、諸人信心なす。この山の森、むかしは沖よりの船、入津の目あてなりといふ。これは深川、本所の辺、海なるときの目当てなるよし。(中略)このあたりより隅田川を望めば、雪飄々として鵞毛に似たり。〕鵞毛;がちょうの羽毛、極度に軽いものの例え。
16 市ヶ谷八幡宮
(市ヶ谷亀岡八幡宮)

新宿区市ヶ谷八幡町15番地〔山上、雪景色最よし。〕
17 忍が岡 台東区上野公園の高台を指す〔不忍の池へ雪の降りかかる気色は、また一風の勝地なり。〕
18 東叡山寛永寺
17と同所

いまの上野公園に当たる上野の山のほぼ全体が昔の寛永寺境内
〔玄冬に至、雪のふるころ、此山王山に登りてなかむれは、吉祥閣へつもれるありさま、海内一の絶景なり。〕山王山;いま西郷隆盛銅像のある辺りにもと山王社があり、山王台とも呼んだ。吉祥閣;銅像より北北西方向250m辺りの所にあった。
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